事例に学ぶ事業承継
わたしたちがこれまでにお手伝いをさせていただいた事例のご紹介をします。
業種 | 製造業 | 業務内容 | 工業用金属製品製造・加工 |
創業 | 昭和32年5月 | 従業員 | 20人(パート・アルバイト含む) |
代表者年齢 | 70歳 | 地域 | 名古屋 |
資本金 | 500万円 | 売上高 | 281,716千円 |
業種 | 製造業 |
業務内容 | 工業用金属製品製造・加工 |
創業 | 昭和32年5月 |
従業員 | 20人(パート・アルバイト含む) |
代表者年齢 | 70歳 |
地域 | 名古屋 |
資本金 | 500万円 |
売上高 | 281,716千円 |
1.事業継承に至った経緯
2代目経営者である現代表も高齢となり、事業の運営そのものは概ね娘婿であるK氏に承継が進みつつあるものの、財産面についてはまだ途上です。目下の業績は好調そのもので、今後を見ると、しばらくは出資評価が上昇の一途をたどり、従前の生前贈与だけでは間に合わない状況です。とはいうものの、今後の経営環境変化に安穏としているわけにもいかない…。「進めていくなら、事業承継税制も拡充された今しかないのではないか」「支援を受けることで、中期経営計画との連動も高次元のものになるのではないか」と後継者(娘婿)は考え、後継者育成塾にも参加し、当事業ネットワークの門戸をたたきました。
2.事業承継における現状
出資評価は、含み損益資産がそれほど無いものの、昨今の好況により上昇しています。娘婿夫婦に出資持分を集約させないと、「議決権分散」が今後起きうる状況です。他の親族は承継意思がないものの、今後の相続を考えると代償分割などの対策が必要になる可能性を持っています。娘婿は現在養子等の血縁関係がないため、法定相続人になっていません。
※下記図にある数値は、現状での出資持分。現在評価は、約2万円/口。
3.事業承継に係る課題とその対応策
当座の経営的な承継については進んでいます。また、「今後も含めた経営理念や事業ビジョンへの熱い思い」も明確になっており、後継の経営意識・教育も順調にはぐくまれてことがうかがわれました。ただし、「将来への思いにこたえられるような、スムーズな財産承継策の確立」という面では途上感は否定できず、中小企業診断士を招聘し明確化を行いました。
(1)「(個人所有の事業用)資産の相続」をにらんだ、事業承継計画の策定
まず、出資持分について会社法上の理解を深めるべく、機関設計や意思決定に関するアドバイスを行いました。その後、「後継である娘婿夫婦への出資持分集約」をゴールとして設定し、中期的な損益計画の共有を行うことで、出資持分の移転プランにおけるシミュレーションを行いました。その中では、顧問税理士から「事業承継税制」や「相続時精算課税制度」といった、自称承継にかかる税制支援策利用へのアドバイスも並行して行いました。そうすることで、単純な出資持分の移転だけでなく、事業用資産や個人資産も含めた「今後の相続対策」への意識も醸成されました。
(2)事業承継補助金など、各種支援施策への前向きな検討
今まで以上の「経済の激動」が今後は想定されるため、小規模事業者でもある当社にとってみれば、支援施策の積極取得は十分有効であるといえます。そのため、事業承継補助金や、その他「事業承継を契機とする」各種の補助金について理解を深め、今後の積極取得に向けた検討を行いました。
4.サブマネージャーの所感
関西の地から婿入りし、リーマンショックから続く数々の難局を地域の支援機関との強い協力体制を通じて乗り越えながら、現在の体制を築き上げてきた後継者。持ち前の明るさや活力で事業承継の課題も乗り越えるべく、後継者育成塾の門をたたき、この機会に承継計画の策定に取り掛かりました。事業戦略にも精通し、承継計画においても対応可能な中小企業診断士を専門家に据え、「財産承継」の面では顧問税理士との比較を加えたセカンドオピニオンを形成しつつ、中期経営計画との連動を図った事業承継計画を共に策定しました。
今後は、策定した事業承継計画(案)がスタートラインになって、事業承継補助金などの支援施策を積極的に活用しつつ、さらなる飛躍に向け活動していくものと思われます。一定期間を経過したのち、モニタリングとして訪問できればと考えています。